【八尾に残る伝説　時を超えて上演】

プログラム
■解説
西野春雄（法政大学名誉教授、能≪綱）作者）
福田祐美子（八尾市立しおんじやま古墳学習館学芸員）

■創作作品「八尾」
老僧：飯富雅介〇
公枝：有松遼一
従者：橋本宰〇
従僧：椙元正樹
輿舁：高安受壽、久馬治彦
後見助吟：原大〇、原陸
笛：貞光智宣
小鼓：林大和
大鼓：高野彰〇

■仕舞「高安」
山階彌右衛門〇
■仕舞「高安」
塩谷惠〇
地謡：武田宗典〇　林本大　樹下千慧

■狂言「伯母ケ酒」
太郎冠者：善竹隆司〇
伯母：善竹隆平〇
後見：小西玲央

■復元能「綱」
シテ：山中雅志〇
綱：原大〇
従者：原陸
間狂言：善竹隆平〇
笛：貞光訓義〇
小鼓：荒木建作〇
大鼓：安福光雄〇
太鼓：中田弘美〇
後見：山階彌右衛門〇　生一知哉〇　山中迓晶〇
地謡：武田文志〇　武田宗典〇　林本大　今村哲朗　樹下千慧　上野朝彦
働き：塩谷惠

　※〇は重要無形文化財総合指定保持者

創作作品≪八尾（やつお）≫
「八尾」という地名の起りの一つと言われる「八つの尾をもつ鶯」の伝説に基づき、この度新たに創作された。今回は八尾・高安発祥の高安流ワキ方を中心とした、ワキのみによる作品として初上演する。

仕舞≪井筒≫≪高安≫
ともに「伊勢物語」二十三段を軸とした、在原業平と女たちの物語。≪井筒≫は紀有恒の娘を主人公として業平との恋物語を、≪高安≫は業平が通った高安の女を主人公として、業平が高安通いの道中で笛を吹いたとする名所「笛吹きの松」を中心に展開する。≪井筒≫は能を代表する演目の一つ、≪高安≫は約300年前に上演記録が残るがその後廃絶、平成28年度に復曲され八尾市文化会館小ホールにて上演した。

狂言≪伯母ヶ酒≫
復元能「綱」が伯母に化けた鬼の話であることに関連し選曲。
＜あらすじ＞酒飲みの男が酒屋を営む伯母に酒をせがむものの、なかなか飲ませてもらえない。酒屋の近くで鬼が出ると聞いた男は、鬼に化けて伯母を脅かすが…。

復元能≪綱≫
室町時代に実在した曲で、能の名曲≪羅生門≫の後日談。高安山麓に実在する通称「手塚」と呼ばれる古墳の鬼の伝説にまつわる能を復元し、令和３年６月の研究公演を経てこの度初めて八尾にて披露。
＜あらすじ＞鬼の腕を切り落とした渡辺綱のもとへ、高安から来た綱の伯母がやってくる。しかし実際は綱に腕を切られた鬼（茨木童子）が化けていた。

【見どころ①】
大阪・八尾発の復元能 《綱（つな）》
《綱》は500年前に存在した能曲とされるものの、現在では謡本すら現存していません。そこで今回の公演は、八尾市高安地域の「手塚」の伝承をもとに、４名の有識者（能楽師（山中雅志師　観世流シテ方）・大学教授（西野春雄氏　法政大学名誉教授）・鬼の研究者（福田祐美子氏　八尾市立しおんじやま古墳学習館学芸員）・能楽研究者（朝原広基氏　能楽と郷土を知る会））が共働し、５年がかりで復元にあたりました。

【見どころ②】
能に似て、能にあらず！創作作品 《八尾（やつお）》
今回の公演で最初に上演する《八尾（やつお）》に出演するのは、ワキ方のみ（囃子あり）。能は、主役を演じるシテ方あってのものですが、今回は地元高安発祥の、高安流ワキ方が9名出演する異色の作品として上演します。謡曲「八尾」は幕末の八尾で活躍した国学者、歌人の伴林光平（ともばやしみつひら）の作とされています。この曲を八尾市民（坂上弘子氏　八尾・高安地域歴史研究家ほか）が古文書から掘り起こし、今回の上演に当たって3名の有識能楽者が演出・節付・型付に関わりました。

【見どころ③】
能の要所、八尾ゆかりの能公演だからこそ、どんな方にも！
本作は、地元の方にはもちろんのこと、歴史や地域の伝承に興味のある方、能を気軽に鑑賞したい方にも楽しんでいただけるよう、「言葉のわかりやすさ」「物語のダイナミズム」「歴史考証」にこだわって創作しました。
また《綱》《八尾》はじめ、仕舞には平成２８年度に本プロジェクトにて復曲した≪高安≫そして地元ゆかりの名曲≪井筒≫と、オール・八尾・プログラム。狂言の≪伯母ケ酒≫には特定の土地は出てきませんが、酒好きの男が鬼に扮して酒をせしめる物語で、やはり今回の企画ならではの狂言。能の知識の有無にかかわらず、どっぷりと八尾の能の世界に浸っていただけます。

写真：前島吉裕

※Sonoligo以外でチケットを購入した方と座席が隣になるとの確約は致しかねます。ご了承ください。

当日は開演1時間前の12:30より、公演会場の大ホール前にて座席指定券をお渡しします。
駐車場は有料です。台数に限りがありますので、なるべく公共交通機関をご利用ください。
Sonoligo以外でチケットを購入した方と座席が隣になるとの確約は致しかます。ご了承ください。